ヤスカワショウゴ — Script
Avsnitt 7
嵐の邂逅
「あらゆる英雄は過労で死ぬ」。そう嘯く青年、イクタ・ソローク。彼とその幼なじみのヤトリは、高等士官試験の二次会場に向かうため、乗船しようとしていた。旧軍閥の名家に生まれたヤトリは、自身の主席合格をより確実なものとするため、この英雄嫌いの青年に協力を要請したのだ。船上にて同室となったのは、ふたりと腐れ縁のマシュー、衛生兵志願のハロ、そしてヤトリと同じく「忠義の御三家」に生まれたトルウェイの三人だった。和やかな談笑や他愛のないゲームに興じる5人。だが、突然の強い振動が、その時間に水を差す。ほどなく彼らの耳に届いたのは、船が挫傷したという凶報だった――。
Läs Mer不本意なる褒賞
シャミーユに代わり自らを囮としたイクタは、帝国からの亡命者のふりをすることで、キオカの軍人を油断させる。その上でトルウェイ、ヤトリとの共同作戦を展開し、彼らを撃退したイクタ。情報を聞き出すことに成功したものの、人殺しの事実は、各々の心に後味の悪いものを残すのだった。特にシャミーユに至っては、自身に流れるカトヴァンマニニクの血に咎があるという自責の念から、ついに自傷行為へと走ろうとする。イクタはそんな彼女を止め、「非科学的だ」と窘めるのだった……。翌朝、兵士たちの情報と彼らが残した気球を元に、一計を案じたイクタ。国境へと赴いた彼らが、そこで打った大芝居とは…?
Läs Mer高等士官学校の騎士団
高等士官学校に入学することとなったイクタ達「騎士団」の面々。さっそく因縁を付けられるイクタだったが、意に介さないどころか返り討ちにする。さらにその後の授業では用意されていた以上の回答――「時点ごとの部隊を把握する重要性」について独自の見解を述べ、教授の舌を巻かせることに。だが、騎士団は彼のような豪胆な者ばかりではなかった。授業後のトルウェイに声を掛けたのは、彼の兄であるサリハとスシュラ。自分の弟を臆病者と罵るサリハに対し、精一杯抵抗の声を張り上げるトルウェイ。一触即発の空気の中、その空気を読まずに割って入ったのは、やはりあの男だった。
Läs Mer二人でひとつ
科学の世界へようこそ!」。それはヤトリがまだ9歳の頃。遊学先としてバダ・サンクレイ大将のもとに預けられた彼女は、同い年の少年、イクタと出会う。彼とともに触れ合う世界は、これまでとは違った感慨をもってヤトリに新鮮な驚きを与えていった。科学という言葉。出会ったことのない味。遊ぶという行為。そして、母親という温かい存在。彼女の笑みから硬さがなくなった頃、ヤトリは「軍人ではなく、一緒に科学者にならないか?」とイクタに誘われる。だがヤトリは瞳を伏せた。イグセムとして生まれた自分がどうあるべきなのか、彼女は誰よりも理解していたのだ……。
Läs Mer常怠vs不眠
「一戦を交える頃合いだ」。そう決意の表情を浮かべるイクタ。だがマシューは、このまま火線防御陣作戦を続けるべきではと疑問を呈す。それに対し、敵が迂回してくる可能性を示唆するイクタ。実は、ガガルカサカン大森林は西で果てるところよりも更に先に細い山道があり、そのまま道を選んで進めば、迂回して帝国軍陣地後方に出ることが可能なのだ。とはいえ迂回は、遠回りした分だけ攻め入るのが遅れるので、アルデラ神軍にとって苦渋の選択となる。一方で帝国軍にとっては迂回されてしまえば撤退時間を稼ぎ切れず、時間切れになってしまうという状況だった。迂回に意識を割かれないために、どうしてもここで一戦を交える必要がある……。こうして、撤退のための直接交戦が始まった――。
Läs Merたそがれの帝国にて
炎の壁を突破した敵騎兵に対し、対策を練るイクタ。しかし、戦力差は5対1。この劣勢をどう切り抜けるべきか…。考えのまとまらないまま、イクタはマシューとハロに対し、陣地を守るように通達。三日後に再び会うことを約束し、自分はヤトリ、ナナクとともに敵軍の迎撃へと向かう。敵を撃ち破った上で東の林道へ急行し、炎の壁を作り直す。この難行を達成するための、最大の問題点が馬とエアライフルだった。この二点を抑え込まない限り、勝機はない……。イクタは斥候から帰ったヤトリからの地形についての報告を聞き、敵将の思考を読んでいく。そして、彼は不意に顔を挙げた。「これは…いけるといえば…いけるのか?」。イクタの策が動き出す――。
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