梶川彌生は女学生の中津川絢子の家庭教師となり、中津川家の人々も快く迎えてくれた。絢子には異母兄で、いつも人を避けて書斎に閉じこもっている邦彦がいたが、彌生のおかげで邦彦も明るい青年へと変わっていき、邦彦は彌生に恋心を抱くようになる。しかし、彌生には篤三という婚約者がいた。中学教師の篤三は、満州で移民村の子どもたちに教えることを自分の使命と考えていたが、あるとき出会った教え子の姉・麻子からの激しい情熱が、篤三と彌生の関係をこじらせていく。そして、篤三の満州行きが近づいてきて…。